210308_【ネタバレ注意】シン・エヴァンゲリオンを観た。感想篇

 ###さようなら,すべてのエヴァンゲリオン


『シン・エヴァンゲリオン劇場版』本予告・改2【公式】

 

ブログ,久々。

9年待ちました。関東圏の緊急事態宣言は解除されていないようですが,ついに「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開されました。

TVシリーズから25年と少し,「:Q」からは9年目の公開です。

ネタバレ気にせず感想を書きたいと思ったので,ブログで長文を書いてみようと思います。

独断と偏見に基づく解釈も含まれています。悪しからずご容赦ください。

 

 

###感想(ネタバレ入ります。)

1.アバンタイトル~第3村

「シン・」の一番の不安要素は,「このストーリーをどう畳むのか?」というところでした。
が,不安要素は開始数分でスコーンと飛んでいきましたね。

俺の嫁(マリ)が上下左右に大暴れ大活躍する冒頭アバンタイトルは,これからの展開を予感させるに十分なスペクタクルと情報量で,劇場で堪能する映像と音響はまた格別でした。

そしてOP映像後の「第3村」のシーン。正直,トウジの声を聞いて泣きました。隣に座っていた知らない女の子も泣いてました。
トウジ・ケンスケ・ヒカリの面々が,あのサードインパクトを生き延びていた!!
おまけにヒカリはトウジと結婚して子ども(ツバメ)も授かってんの!?

TVシリーズの「明日は食べてくれるといいな…」という委員長のセリフが頭を過ぎる。俺,号泣。イインチョ,ついに結ばれたんだねぇ……;;;

 

そして第3村の日常に触れつつ,日々新たな発見に胸を踊らせる黒波ちゃんの可愛いこと。「〇〇って,何?」というセリフが積み重なるほど,嬉しそうに声が跳ね上がっていくところなんかもう,こっちがポカポカしてくるわね。農作業に勤しむ綾波が見れるのはシンエヴァだけ!

そして黒波ちゃんが形象崩壊する場面でまた号泣。最後にシンジから名前をもらい,プラグスーツも純白に変化したことでアヤナミレイ(仮称)から綾波レイとして生まれ,そして消えていった……。

 

「:Q」での凄絶なラストを受けて失語症となったシンジも,ケンスケに助けられ綾波に引き上げられて言葉を取り戻しました。
シンジの処遇をどうすんのかな~,っていうのが視聴前の疑問だったんですが,不思議とスッと飲み込めました。
ここの展開,TVシリーズと似てるんですよね。
シャムシエル(第4使徒)撃破後,ミサトとの諍いから家出したシンジを匿ってくれたのはケンスケでした。(新劇場版ではオミットされた。)
エヴァに乗らないと意地を張るシンジを初号機へと向かわせたのはいつも綾波でした。

だから,今回もこの展開が一番しっくり来たんだと思う。

 

「:Q」でカヲルくんは「縁が君を導くだろう」と言いました。今回のケンスケは父親との関係を引き合いに「縁は残る」と言いました。
おそらくカントクくん(=庵野監督)が身に沁みて感じたことの一つなんでしょう。
色々ありましたしね,スタジオカラー設立からこっち。

 

 

2.ヴンダーへの帰還~ヤマト作戦

失語症を乗り越え,黒波の消失を受け止め,ミサトさんと加持さんの息子と出会ったシンジは,再びヴンダーに乗り込んで自らの”ケジメ”・”落とし前”をつける覚悟を決めます。
周囲は第3村に残ることも勧めますが,シンジはあくまでゲンドウを止めることを自らの使命と位置づけました。

「:破」以来12年ぶり,”シンジさん”のターンです。

覚悟を決めたシンジさんは無敵です。主人公補正MAXです。ここぞという時しか喋りません。話すこと一言一言に重みがあります。
たとえサクラが泣きながら平手打ちをしてきても,それを見たアスカが「女房かよ」とツッコんでも,主人公は無敵なんです。(サクラの女房概念,めちゃくちゃSUKI……)

 

艦長室にて,シンジと加持リョウジ(息子)のツーショットの写真を前に,ミサトは「:破」ラストでシンジに責任を押し付けてしまったことを後悔していたこと,そしてそれが原因で冷たくあしらっていたことが明かされます。

また 「ヤマト作戦」直前,アスカとマリが訪れた先はシンジの耐爆防護隔離室でした。
アスカが殴ろうとした訳をシンジに質したとき,シンジは「何も責任を負おうとしなかったという選択をしたこと」であると答えます。そこに気づけるだけ成長したんだね,シンジさん……

「:Q」で散々取り沙汰された問題が,ここで続々と種明かしです。
考察で予想はされていましたが,いざ明かされるとそれはそれで感慨深いもんですね。

 

そしてこの一連のシーンの中で最も印象深い名台詞が「屋上・眼鏡・乳の大きいイイ女」ですね!!!!!!!!!!!!
ああ!!!もう!!!!マリ大好き!!!!!これがガチ恋!!!!!!!!!!!!

 

ヤマト作戦の出撃準備に勤しむヴィレクルーの姿も本作にコクを与えてますね。
ってかサクラとミドリ同室かよ。お前らホントにマジアレやぞおじさん良からぬこと考えちゃうぞ。

 

 

3.そして南極へ~アディショナル・インパク

そして終局の地,カルヴァリーベースです。

アナザーインパクトを目論むゲンドウvsインパクト阻止を掲げるヴィレ の最終決戦だ!

正直この辺りは別記事で詳しく考察しようと思うので,展開については省きますが,「黒き月をマテリアルとして2本の槍を生成する」というアイデアにはぶったまげました。その手があったか~~~……
あとアスカ……貴女また噛ませ犬なのね……
あと「エヴァ・イマジナリー」という概念がまだよく飲み込めていない。

 

終盤での見どころであり本作で一番印象深いのが,初号機追撃を企図するシンジさんと,その後押しをするミサトさんのシーン。
新劇場版ではこれまで,シンジとミサトの”絆”がテーマの一つになってきました。

「:序」ではミサトの覚悟を受け止めるシンジ <=> シンジの覚悟に賭けるミサト

「:破」ではミサトに背中を預けるシンジ <=> シンジの覚悟を後押しするミサト

「:Q」ではミサトに認められたいシンジ <=> シンジを守りたいミサト

として,それぞれ関係性が描かれています。

「シン・」ではこの関係に一つの結末が示されました。
成熟しつつあった関係性が「:Q」でご破算になったかと思われましたが,やはりシンジとミサトは心の奥底で繋がっていたんだねぇ。

「行ってきます」「行ってらっしゃい」で号泣。泣いてばっかだな,俺。

そしてこの二人の絆が,マイナス宇宙で繰り広げられるアディショナル・インパクトを阻止するきっかけになった点もエモエモポイントです。ありがとう。

 

ゲンドウの画策する人類補完計画の目的が,ゲンドウとユイの再会である点はこれまでのシリーズと共通でしたね。相変わらずこの人騒がせ夫婦は……

そして補完計画の終焉に向けたアプローチとして,「ゲンドウの救済」が全面に押し出されたことが旧劇場版との違いですかね。

旧劇場版では綾波に裏切られ,初号機に喰われ,志半ばで補完計画を放棄せざるを得なかったゲンドウシナリオが,本作ではストーリーの基幹となります。
だけどゲンドウはシンジの成長とユイの願いを受けて,自らの意思で補完計画を放棄しました。
これまでゲンドウは「成長できない(伸びしろのない)大人」の代表格として描かれてきましたが,「シン・」ではユイ・シンジの思いを受け,2人を支える選択をしたこと。泣けます。
13号機と初号機のタイマンはすごく面白かった(色んな意味で)
カントクくん自身が成長したことが,エンディングにも作用しているんだなって思いました。

 

 

そして「シン・」では「渚カヲル」というキャラクターの救済まで成し遂げました。
なんという偉業!

 

シンジくんを幸せにするため,数々の世界線を繰り返し円環の理に身を置いてきたカヲルくんだったけど,シンジさんの成長とともに 周囲(カヲル)の幸せ=>シンジの幸せ であると気づき,世界の幕引きをシンジに委ね,自らの幸せを求めて身を引きます。

渚司令……?リョウちゃん……?カヲ加持……?この概念は後日考察しよう……

 

 

4.人類補完計画の終焉と新世紀の幕開け

ゲンドウ・カヲルというエヴァ世界における2大「救いようのない存在」を救済し,シンジさんは最後にアスカを救いに行きます。
式波・アスカ・ラングレーとしてのロールではなく,「アスカ」として認められたいという願いをケンスケが叶えたことはビックリだったなぁ~~
あくまでシンジとは過去の関係であり,身近な年相応の男性像がケンスケだったんだろうなぁ。男女ってそういうもんか。

これまでのシリーズでも救いきれなかった数々のキャラをこれでもか!と救って回るシンジさん。この爽快感!
俺の求めていたエヴァはこれだ~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!
高揚感がすごかったですね。最高……

ガイウスの槍に次々ぶっ刺されるエヴァシリーズは微笑ましくてたまらない。

 

そして最後,シンジ自身を迎えに来たのがマリだったこと。これが新劇場版最大のビックリポイントですね。
カヲルくんが身を置いた円環の理を書き換えた存在であり,補完計画最大のイレギュラーであり,死海文書を覆した「デウス・エクス・マキナ」であり,真の希望であった真希波・マリ・イラストリアス

「胸の大きいいい女」,正ヒロイン昇格おめでとう……! やはり俺が惚れた女だ……!!

 

補完計画の収束後,シンジがいた世界は我々の宇宙(=NEON GENESIS)でした。
我々の世界もまた,シンジが救ってくれた後の世界なのかもしれません――(ウルトラQ感)

 

###まとめ!!!

「希望の槍」カシウス 「絶望の槍」ロンギヌス

この構図はそのまま新劇場版と旧世紀版に当てはまります。

シンジが希望の明日を信じて世界を正した新劇場版。

シンジが救いようのない現在(原罪)に絶望して世界を滅ぼしかけた旧世紀版。

相反するこの2つの世界が相補性のうねりの中で一つの大きな世界観を構築し,25年かけて1つの世界になりました。

エヴァンゲリオン」は究極のエンターテインメントであり,俺の人生の核(コア)です。

作品が終わったことはとてもとても淋しいけれど,庵野監督が伝えたかったこと,見せたかったものは一生かけて吟味して行こうと思います。

とりあえず,あと10回は劇場に観に行くか。

めざせ興行収入8兆円!!!!!!

 

今度新劇場版全体の考察記事も書きたいな。