#006_忙殺の日々,狂乱の転機

###三日坊主_?

前回のブログからはや36日。
少なくとも,"三日"坊主ではなかったが,また更新が滞ってしまった。
理由はなんてことはない。「無い内定」である。

 

###「無い内定」の日常

無い内定就活生の朝は早い。ストレスで全く眠れないからだ。
寝付きも夢見も悪く,目覚めて思うのは内定のことばかり。
「おっかしいな,こんなはずじゃ……」悔やんでも嘆いても後の祭りである。
手当たり次第に求人票を印刷し,志望順位に従って履歴書をひたすら書く日々。
精も根も尽き果てた就活生を突き動かすのは,もはや「無い内定」からの逃避願望である。
1社のエントリーシートと履歴書を書くだけで7時間かかったこともあった。
説明会,面接試験,履歴書添削,面接指導……。就職支援センターと家を往復するだけの日々。
食欲も沸かず,ただ無為に煙草と水を浪費する。煙草と煙草の合間に履歴書を書く。
「いつまでこんな生活が続くんだろう……。」先の見えない不安と焦燥感に,ただただ嘆き悲しむ。思い悩んだところで,何も解決しないのにね。

 

###暗転→惨憺→→→Hallelujah

ここまで焦っていた訳は「無い内定だったから」だけではない。
最後の頼みの綱であり,唯一の希望であった某官庁の試験に落ちたあの日。その3週間後には,学会発表が控えていた。
学会なんぞ見たこともない一地方大学の学部生の前に,学会はとてつもなく大きな壁として立ちはだかった。
学会準備の進捗はゼロ。就活の手駒もゼロ。すべてが,デッドライン直前でゼロベースに振り戻されてしまった。

目の前が真っ暗になって死相を漂わせながら這いつくばって研究室に出勤した私。
そんな私を見た師曰く,「まずは就活より始めよ」と。
そして私は2週間かけ就活の手駒を揃えた。この間の生活は上に書いたとおりだ。

問題はこの後,学会準備であった。
ポスターのフォーマットもできておらず,ディテールに至ってはアイデアも温めていなかった。
不幸中の幸いは,実験自体は既に終えていた事くらい。
あとは書くだけ? ナマ言っちゃいかんぜ。書くのが一番大変だっていうのは卒論生の常識でしょうが。
理論的に,わかりやすく,見えやすく。ストーリーはもとより画像の配置やデザイン,全体の構図を考える必要がある。既に就活であっぷあっぷになっている私にさらに冷水をぶっかける難題である。かぐや姫斯くありや。
そんな私に師曰く,「まずラフスケッチから始めよ」と。
おおまかに乗せる情報と画像をまとめ提出したラフスケッチを基に,先生は一から手直しをしてくれた。
手直しのためのディスカッションは3日間のトータルで二桁に及ぶ。書いては直し,書いては直しの日々。

一方では無い内定の現実が,一方では学会のデッドラインが,私を囲んでタンゴを踊っているのが見えた。
精神も荒み,肉体的にも不眠不休のツケが回りはじめてそれはそれは惨憺たる日々だった。今にして思えば,先生に対して失礼な態度をとっていたことも思い出す。
それでも見捨てず,限りある時間で考えうる限りの指導をしてくれた先生には感謝しかない。

学会を2日後に控えた夜中,「うーん,これでいいんじゃない?」というGOサインが出た。脱力感と疲労による酩酊感がどっと押し寄せてきた。
そして何よりも安堵である。発表こそ控えているものの,タンゴを踊っているアイツを舞台から引きずり下ろした気分だ。不思議と達成感はなかった。

 

###ボクを載せて廻る幸不幸

ポスターを作っている間に発表の内容は頭に入っていた。
そして先生との面接練習によって人と話す練習は既に済んでいた。
これだけやってもなお,学会でポスター賞を取れたのは意外であった。おお運命の神よ!
なにより,3週間にわたって考えうる限りの狼藉を続けた私が,先生に喜んでもらえたことが嬉しかった。
傲慢かもしれないが,「俺は無い内定だけど,無能というわけではない」ということをうっすら感じた。

俺は未だに無い内定である。内定がいつ出るのか,目処も立っていない。
でも,自分なりに努力は重ねている。まだ面接はトラウマだけど,いつか乗り越えるはず。はず。
それに,あの学会から徐々に追い風が吹いてるのを感じる。
というよりも,吹いている風を追い風とするか向かい風とするかは,結局心の持ちようなんだなと気づいた。
どんなに強い向かい風も,帆を返せば強力な追い風になる。(いいこと言った,俺。)

なぜこんな事書いたかといえば,自分に対する戒めの意味もある。
でも,つらい時の思い出のほうが,後で読んだ時に身に沁みるのだ。


まだまだ先は長い。
せめて卒論と就活がダブらないことだけは願いつつ,自然体で行こう。